掃き溜めの落書き

赴くままの連辞

方言・名字事情

 たまにはまとめ以外も。

方言

 この間の実験の授業で、実験のペアに「このケーブルなおしといて」と頼まれ、一瞬戸惑いつつも辛うじてケーブルを元あった位置に戻すことに成功しました。自分の外にある世界を垣間見る体験は、自分が見ている世界がいかに偏って狭いものかを思い知らされます。

 自分も僅かな方言を持っています。祖母と暮らしていたこともあり地域の中では比較的強い部類に入ると思いますが、僅かな方言です(そもそも東京方言を方言として認めるかどうかでも結構論争が起きそうではあるけど)。それゆえ日本語というよく知っている(と思っている)空間の中に遭遇したことのない言い回しがぽんと出現すると少し刺激的に感じます。

 高3の修学旅行で八重山に行く予定があり、その前段階で八重山地方の方言に関する講演がありました。今となっては僅かな記憶……なんで真面目に聞いていなかったのだろうという後悔しかないのですが、その中で風化に耐えた記憶として与那国島の話者の映像があります。なんという単語を喋っていたのかは忘れちゃったけど、その独特なリズムに魅せられ、ぜひこれを生で聴きたい!と思ったものでした。結果から言えばある感染症がその計画をなぎ倒してしまったわけですが……。いつか行けたらいいな。

奄美

 同じくらい奄美にも行きたいと思っています。奄美方言に対しては漠然とした興味はあったのですが、ちゃんと実態に触れたのはReoNaの曲*1の歌詞が最初で最後です。

 沖縄には美ら海水族館という水族館がありますが、この「美ら(ちゅら)」は標準語(の古語)の「清ら(きよら)なり」に由来するそうです。これを初めて説明された時にそれがどうしてわかるのか疑問に思って、まぁ、思っただけなのですが、この曲で「美ら」は「きょら」と発音されているのを聞いた時になるほどこれが比較言語学かと感心した覚えがあります。要は同じ意味の単語(または同じ語源を持つであろうと推測される単語)を島側から本土側に辿っていくと本土側においてそれに対応する単語がわかる、どのような音韻の変遷を辿ったかがわかる、というわけです。歴史と現代が繋がっていることを感じられる話題って面白いですよね*2

 話がそれましたが、方言だけじゃなく、都市的な普段の生活では見られないもの全てに憧れがあります。綺麗な海、特有の生物群、島の楽器、泥染……また旅をしたくなっている!

名字

 名字も、方言と同じ理由で珍しいものを見ると興奮します。本名が何も珍しい名字ではないこともその原因な気がしますが、地方色がかなり強いものだし、それが人間の名前になって受け継がれてきたということにも、方言と似たような歴史を垣間見るのかもしれません。いつか大きな判子屋に行ってどんな名字があるのか物色してみたいものです。



 今回はこの辺で。

*1:ReoNa『ネリヤカナヤ 〜美ら奄美〜』。ニライカナイとして我々が知っているものがネリヤカナヤと表記されているのも興味深い。

*2:この類の話をすると周りの人は愛想笑いしてくれます。